【社会人から作業療法士になる】専門学校・大学に進学する前によく考えておきたい奨学金を借りる恐怖
社会人から理学療法士・作業療法士の養成校に入学する人はたくさんいます。私もその一人です。養成校の学校説明会では当然のように奨学金を借りるように勧められます。しかし、多額の奨学金は卒業後の生活を一変させてしまう危険性があります。
この記事では、理学療法士・作業療法士の養成校に入学する前に奨学金を借りる恐ろしさについて紹介していきます。
- 社会人から作業療法士養成校進学するとおよそ400万円以上かかる
- 学校説明会では当然のように勧められる奨学金
- 卒業してすぐに数百万円の借金を背負うことに
- 作業療法士の給料は上がらない
- 結論:奨学金を借りる前にもう一度将来のことをよく考えよう
社会人から作業療法士養成校進学するとおよそ400万円以上かかる
社会人から作業療法士を目指そうと思ったときに、まず考えることが養成校選びです。
作業療法士の資格取得を目指す場合、国公立大学、私立大学、専門学校の選択肢があります。国公立大学は学費が安く済みますが、入学試験を通らなければならず狭き門です。また、私立大学も再度受験をして入学しなければならないので入試の勉強をしなければなりません。
そこで一番簡単に入学することができるのが専門学校です。専門学校の入学試験はほとんどあってないようなものです。簡単な試験だけですぐに合格通知をもらうことができます。その手軽さもあって社会人から作業療法士を目指したときに専門学校が一番簡単で人気があるのです。
しかし、作業療法士養成校の中で国公立大学や一部の専門学校を除く私立大学や専門学校に進学した場合、学費はおよそ400万円程度かかります。さらに学生の期間には正社員として働けないため固定の収入も減少します。生活費がかかるだけでなく、国民年金や所得税も重くのしかかってきます。アルバイトをしたとしても学費+数百万程度の出費があることを覚悟しなければなりません。
学校説明会では当然のように勧められる奨学金
学校説明会に行くと必ず学費についての話をされます。特に社会人から作業療法士を目指す場合には入念に説明されると思います。学費の資金が十分にある状態で入学する場合を除いて、ほとんどの人が奨学金を借りるつもりでいるのではないでしょうか。
学校説明会では当然のように奨学金を勧められます。日本学生支援機構だけでなく提携している民間の金融機関の学資ローンなど実にさまざまなものを紹介してくれます。そのほとんどが有利子(3.0%程度)のもので無利子のものはほとんどありません。
「他の学生も利用しているから大丈夫です」
「ほとんどの学生が奨学金を利用しています」
など学校側からは奨学金を借りることを勧められます。しかし、奨学金と言えば聞こえはいいですが借金であることに間違いありません。返済を延滞することがあれば、社会的な制裁を受けることにもなってしまいます。
これらの奨学金や学資ローンは申し込みさえすれば簡単に借りることができます。簡単だからこそ、借りるときにはその重みがいま一つ理解できないのではないかと思います。
卒業してすぐに数百万円の借金を背負うことに
ある金融機関の学資ローンで400万円借りた場合のシュミレーションをしてみました。
分割払い手数料は3.0%のところが多いようです。日本学生支援機構の有利子の利率も3.0%でした。
毎月の支払額を48,000円にして計算してみると・・・
- 総支払額合計:4,490,978円(内分割手数料490,978円)
- 支払回数:94回(7年8カ月間)
という計算になりました。
400万円の借金が返す時には449万円になります。49万円も多く払わなければなりません。さらに、毎月48,000円も払い続けなければなりません。そして、この支払は約8年弱続きます。
卒業後は毎月48,000円ずつの支払いをしていかなければなりません。社会人を経験していれば、この金額が生活費の中でどれぐらいの割合になるか想像がつくでしょう。
この借金は、人生設計が変わってしまうくらいのレベルの金額です。毎月48,000円支払いながら貯金はできるのでしょうか?社会人経験をしたあとでの進学であれば、働き始めてからは結婚や出産などお金がかかる時期になってきます。この借金がある状態でそのような出費に対応できるか疑問を感じます。
作業療法士の給料は上がらない
あなたは、作業療法士の国家資格を取得すれば給料が上がると考えているのではないでしょうか。
結論から言うと、一般企業に大卒で入るよりはやや高めの給料がもらえることになります。一般企業と同程度かやや高い程度と想像しておけば問題ないでしょう。
また、新人であっても職場によっても給料は大きく変わります。精神科や訪問など診療報酬の単価が高い職場であれば給与水準も高くなります。反対に身体障害領域の病院などの場合は給料は据え置きになります。
一般企業の水準より高いとは言え、毎月数万円の奨学金の返済をすると生活はかなり苦しくなります。加えて作業療法士の給料はあんまり上がりません。経験上そう感じます。社会保障費を抑えるため診療報酬もどんどん抑えられている時代です。作業療法士の給料が大きく上がる要素がありません。
つまり、将来の収入アップを見込んで奨学金を借りると、働き出してから大きな計算違いを感じることになります。その後の人生を大きく狂わせてしまう可能性も十分にあると考えておいたほうがいいでしょう。
結論:奨学金を借りる前にもう一度将来のことをよく考えよう
養成校にとっては、学生を確保して提携している学資ローンを借りてもらうことが一番の理想なのです。養成校は学生の将来のことを考えているわけではなく、学校の利益を一番に考えています。多額の借金である奨学金をなんのためらいもなく勧めてくるのがいい証拠です。
奨学金を借りて勉強することで夢をかなえるのは素晴らしいことだと思います。しかし、理想や夢だけでは後で困ってしまうことにもなりかねません。奨学金を借りることを検討している人は現実的な問題として冷静に考えてみてください。特に、作業療法士の場合は400万円もの大金をかけても収入面が大幅にアップすることはありません。やりがいはとてもある素晴らしい仕事ですが、本当にやりがいだけで選んで大丈夫でしょうか。
将来設計のことも具体的に考えて選択することが大切です。
私自身は幸いなことに奨学金を借りることなく作業療法士になることができました。しかし現実問題として、借金の返済がなくても給料の少なさに嫌気がさすときがあります。将来の見通しの悪さに不安感を感じています。
養成校の学校説明で奨学金の説明もされると思いますが、それは甘い罠であることは間違いありません。1年間貯金してから入学するだけでも借金の額が大きく変わります。これから作業療法士養成校への入学を考えている社会人の人は是非冷静に考えてみてほしいと思います。
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