30代の小さな成功者

「手の届く範囲の小さな成功」を目指す30代男の人生逆転への奮闘記

リハビリ職のための正しい体温測定の方法

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リハビリの介入前には体温測定を行ってフィジカルアセスメントを行います。体温測定を行うことで患者さんの状態を知る上で重要な情報を得ることができます。

しかし、正しい測定方法を実施しなければ正確な結果を得ることはできません。患者さんの状態を正しく把握するためには毎回同じ方法で測定を行うことが大切です。

この記事では臨床上頻繁に行う腋窩での体温測定の正しい方法について紹介していきます。

 

 

体温に影響を与える全身状態と環境因子

 

体温の数値を正しく解釈するためには患者さんの全身状態と測定時の環境因子を把握しておくことが大切です。

全身状態

 

患者さんの全身状態で体温に影響する因子があるかを事前に把握しておくことが大切です。体温に影響を与える因子として、原疾患、栄養状態、肝機能、副腎・甲状腺機能、年齢などがあります。

原疾患

 

体温上昇を引き起こす疾患としては、感染症膠原病、悪性腫瘍のほか脳出血・脳腫瘍などがあります。

感染症膠原病・悪性腫瘍に罹患すると炎症性サイトカインが分泌されます。炎症性サイトカインは体温調節中枢の視床下部に作用してセットポイントを上昇させる働きをします。視床下部のセットポイントが上昇することで発熱が生じます。

脳出血や脳腫瘍の既往があると体温調節中枢の視床下部が血腫や腫瘍によって圧迫されることがあります。視床下部の圧迫により体温調節機能が低下しセットポイントが上昇します。結果として発熱が生じます。

栄養状態

 

肝臓での栄養素の代謝によって大量の発熱がおこります。腸管からの栄養素の吸収が減少すると肝臓での代謝が減少します。結果として熱産生量が減少することで体温の低下がおこります。

肝機能

 

上述したように体内の熱産生は肝臓の代謝が占める部分が多くなっています。肝機能が低下することで肝臓での代謝が減少します。栄養不良と同様に熱産生量が減少することで体温の低下がおこります。

副腎・甲状腺機能

 

副腎髄質から分泌されるアドレナリンは肝臓や骨格筋での代謝を増加させる作用があります。また、甲状腺ホルモンも同様に代謝を亢進させる作用があります。これらのホルモンの増減によって高体温や低体温がおこります。

年齢

 

高齢者になると代謝機能が低下します。食事摂取量も減少し栄養状態の低下もおこります。脳機能の低下により体温調節機能の低下も生じます。活動量も減少するため骨格筋からの熱産生も減少します。加齢に伴い体温は低下するとされています。

環境因子

 

体温に影響を与える環境因子として、環境温、時間帯、運動量があります。

環境温

 

環境温が体温を下回ると熱放散の手段として放射の占める割合が多くなります。環境温が体温を上回ると熱放散の手段として蒸散の占める割合が多くなります。環境温は体温に大きな影響を与えます。

時間帯

 

午後3時から午後8時ごろは活動期であり体温が上昇する傾向があります。反対に午前2時から午前6時ごろは安静期であり体温が低下する傾向があります。体温の変動は1℃以内といわれています。

運動量

 

運動をすることで骨格筋の発熱量が増加します。運動時の熱産生量は安静時の10~12倍と言われています。運動直後の体温測定では運動による熱産生の影響を受けます。

 

リハビリのPOINT

体温に影響を及ぼす生理的要因や環境要因を理解しておくことで体温測定で得られた結果から全身状態を推測することができます。

 

正しい体温測定の方法

 

体温測定はただ体温計を腋窩に挿入するだけではありません。正しい測定のためには注意点がありますので頭に入れて体温測定を行う必要があります。

体温測定の準備

 体温測定を行う前に腋を閉じて10分ほど安静にします。

腋窩温は外殻温ですが核心温を反映します。簡便に核心温を測定できることから腋窩温の測定が広く利用されているのです。腋窩を開いた状態でいると放射や蒸散がおこってしまいます。放射や蒸散がおこると腋窩の皮膚温が下がってしまいます。つまり、腋窩温が正しく核心音を反映しなくなってしまいます。

正しい核心温を得るためには腋窩の温度を自然な状態で温めておくことが必要になります。

 

また、体温測定を行う30分前までは食事や運動を控えるようにします。

食事を摂取すると肝臓での代謝が活発になり体温が上昇してしまいます。運動を行うことで骨格筋の収縮による熱産生がおこり体温が上昇します。いずれにしても安静時の体温に影響を及ぼしてしまいます。

 

リハビリのPOINT

実際の臨床では体温測定前に安静をとる時間がない場合もあります。また、体温測定前に食事や運動をゼロにすることは難しい場合もあります。測定値に影響を及ぼすことを理解した上で測定結果を解釈することが大切です。

体温計の挿入時の注意点

 体温測定を行う直前に腋窩の汗を拭きとる必要があります。

体温が高いときには発汗が促進されています。腋窩が汗で湿っていると蒸散により熱が下がってしまいます。正しい核心温を得るためには蒸散の影響をできる限り少なくする必要があります。

 

また、体温計は腋窩に対して水平ではなく斜め下から挿入するようにします。

体温計を水平に挿入してしまうと体温計の感知部が腋窩最深部に触れなくなってしまいます。腋窩最深部の付近には腋窩動脈が走行しています。腋窩動脈により核心温を反映した血液が腋窩流れるため腋窩温は核心温を反映しています。そのため、体温計を腋窩最深部に触れさせることが大切になります。

 

体温計が腋窩最深部に密着するように反対側の手で腕を抑えて固定する。

腋窩が開いてしまうと腋窩温が核心温を反映しなくなってしまいます。腋窩を閉じて温めておくことが大切です。測定中は腋窩が開かないように反対側の手で固定をする必要があります。

 

リハビリのPOINT

体温計を挿入する角度を理解しておくことが大切です。面倒でも毎回患者さんの病衣の襟元をまくり正しい角度で挿入できているかを目で見て確認することが必要です。

測定する側の選び方

 

側臥位をとっている場合には上側の腕で測定する。

下側の腕は体重によって動脈が圧迫を受けている可能性があります。動脈が圧迫されて血流が低下していると測定値が実際よりも低くなってしまうことがあります。

 

片麻痺がある場合には非麻痺側の腕で測定する。

麻痺側の腕は自律神経の働きが変化しているため、動脈の血流量が非麻痺側と異なります。発症より1年以内の片麻痺の場合には麻痺側の血流が多くなりますが、発症1年異常が経過している片麻痺の場合には麻痺側の血流が低くなります。麻痺側での体温測定は変動も大きく正しい核心温を反映していない場合があります。できる限り非麻痺側での測定を行うようにする必要があります。

 

リハビリのPOINT

上肢の血行動態は人によってことなります。麻痺の有無に限らず同じ患者さんに対しては同じ側で毎回測定を行うように決めておくことが大切です。血行動態の左右差にも注目してフィジカルアセスメントをすることは体温測定に限らず重要です。

 

結論:正しい測定方法を理解して体温測定を行うことがポイント

 

普段何気なく行っている腋窩での体温測定にも厳密な注意点があります。体温測定は日々の変化を正しく捉えることが大切です。毎回正確な数値を得るためにも、正しい方法を理解して臨床に臨むことが必要になります。

また、体温測定から得られる情報を統合するためには体温に影響を及ぼす因子を理解しておくことが大切です。詳しくはこちらの記事を参照してみてください。

 

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